名古屋のホテルの結婚式場へ
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ぼくの気持ちが沈み始めたのとは反対に、
彼女が舞い上がり始めてしまったようだ。
今さら、結婚式場を見て回るのを辞めよう、とは言えなかった。
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そんなぼくの気持ちに気づいていないであろう彼女は、雑誌やインターネットでいろいろ調べてきた。
そして、初めて訪れたホテルは、名古屋駅から少し離れたホテル。
一流、ではないが、周囲もざわざわしていなくて、落ち着いた感じの洋風のホテル。
まだ、どんなものか、全く把握していなかったので、ランチついでに、そのホテルの中のウェディングコーナーを覗く程度にしたのだ。
「結婚式をお考えですか?」
と、声をかけられ、
「はい!」
と、元気に答える彼女。
「いつか。」
と、付け加えた彼女に少々ホッとする。
まだ、なにも決まっていないので、と離れようとしたが、良かったらドレスだけでも、と声をかけてもらい、軽い気持ちでドレスを見せてもらうことにした。
真っ白なウェディングドレスに、興奮した様子の彼女。
丈の短いドレスもあったのだけれど、彼女は遠慮していた。
残念。
試着もすすめられたが、さすがにそれまでは申し訳ないので、丁寧に辞退した。
色とりどりのカクテルドレスも見せてもらい、その日は終了。
一応、新郎の衣装とやらも見せてもらったのだが、結局は女性の選ぶ衣装に合わせたものを選ぶのが一般的らしいな。
まぁ、衣装にこだわるタイプではないから、別にいいのだけれど。
ウェディングコーナーをあとにしてから、チャペルを見に行く。
この日は解放されておらず、外から外観を見るだけ。
なんとなく、映画やコマーシャルに出てきそうなイメージのチャペルだった。
郊外だから、そのスペースもひろくとれるのだろう。
ウェディングコーナーの人たちも感じがよかったし、チャペルも想像以上に綺麗だった。
彼女はとても満足そうで、それがなによりだったと思う。
とりあえず、具体的な話しが出なかったことに、どこかで安心してしまったのだった。
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